memo:舞城王太郎阿修羅ガール町田康:「夫婦茶碗星新一「ブランコの向こうで」石田衣良「うつくしいこども」(再)


石田衣良のかくテンポのいい文体が好き。濃いキャラ設定も好き(今変換したら「恋キャラ」って一発目から出てやだん私ってば乙女)。

阿修羅ガールの3部目には圧倒されました。「この人ホラーも書けるんだすっげー!」。読みだしは、子供たちがいて、ご飯を食べて、川を泳いで……っていうほのぼの、のんびり、そんな内容で個人的には少し退屈だなとも思ったんだけれど、後半の暗くて淀んだ世界観がそんなもん全部ぶっ飛ばしちゃった。物語と世界観に夏の嫌な暑さに似た感じでまとわりつかれて思わず一気に読んだけど、もしかしたら一人じゃ読めなかったかもしれない……!この方の小説は、最後にドギューン!って驚かされる、衝撃をうける経験が多い気がします。

町田康さんの作品は初めて読みました。きっとものすごい賢い方なんだろうなぁ。文体が一見だらだらしているように見えるけど実は物語としてすごくすっきりまとまっていて、あの文体だからこそ主人公の享楽っぷりが光る気もしました。読んだ後に何か残るかと言われれば、うーん、わからないけど……。でも人間の実のようなものも描かれている気がして、主人公の、誰もがしたいと思っても出来ないようなこと(をしてるからこそ主人公は苦しんでいたりするのだけど)をのらりくらりと不器用にやっている姿には好感が持てました。堕落ではない、下降への意志なのだ。

星新一さんの作品も初めて。SFが畑なのかな。柔らかくて温かい世界観。あんまりとげが無くて個人的には物足りない気もましたが、絵本のような感じで、もしかしたらまた読みたくなるのかもしれないなぁ。毒素が無かったから安心して読める感覚はありました。ショート・ショートを読め!との指摘がたくさんあるので、読んでみます。