お父さんはやばめの病気の疑いで知らないあいだに検査入院中だしお母さんはそのことで弱っちゃってるし妹にはお金を貸しっぱなしだし弟は絶賛反抗期中だし恋人とは別れる寸前だし知らないおじさんには自転車で追いかけられるし灰皿には灰にまみれて虫が死んでたけど明日も頑張ろうしっかりしようっと。気張る。

なんでだろうか

いろんなことが正義でいろんなことが間違ってる。自分の力だけじゃどうしようもないことも誰かにどうにかしてほしいことも自分がどうにかしなきゃならないこともたくさんあって、手の内にあるものを細切れにして並べ直して眺めて、泣いたり笑ったりしながら生きてるんだなあと思う。自分勝手になりたくないのに結局自分に都合のいいように生きていて、どうしようもないこともそれには含まれているのかもしれないのだけれど、やっぱり申し訳なくて悔しくて、もっともっと力になれたらいいのに、覚悟ができたらいいのに、なんて。傲慢にも思ったりもしている。もう手を繋げないのかなとかもう一緒に自転車にのれないのかなとか。そんなことばかりが頭をよぎって芯から身を焦がすから、どうしようもなく泣けてしまう。腫れた目を冷やせるのは自分だけなのかもしれないなあ。

レモンを買おう(教えてもらった)

ただただ流れる時間にゆらゆらされながら、いろんなことをぼんやりと考えてる。今日は友達が飲みに誘ってくれたのだけど、いろんな話をしているうちに、何となくいろんなことがクリアになってきたような、そうでもないような、とにかく良いお酒をぐびぐび飲めたことだけが正義で、あとはずっと笑っていた気がする。誰かを悲しませることも誰かが笑うことも、全部ひっくるめて、いろんなことが、通過点なんだろうと思う。ただただ、少し泣きたい気がした。

例えば分厚い生肉を切った時のような、こう、赤い肉汁が少し滲んでいて、でも堂々と出血しているわけじゃない、痛そうなのに痛くなさそうな、そんな人がいたりする。あー痛々しいな、もう少し自分に対して優しくなってあげたらいいのに、と思うのだけれど、当の本人は全くそんなこと気にしていない様子で飄々としていたりするから、こっちもあれってなって、あ・痛くないのかな、そっか見た目ほどじゃないのか、とか思ったりすると、ふと思い出したかのように「痛いよー」って言って泣き顔になって駆け寄ってきたりするから困る。ああやっぱり痛かったのか、そうだよねだってそんなに赤くてチリチリとヒリヒリしてそうできわっきわの生身だもんね、そっかそっかおいで、って両手を広げるとやっぱり平気ってな顔になってまた明後日の方向に走り出す。なんなんよどっちなんよ!って私はどうしていいかわからなくて少し泣きたくなる。サンダルの紐が切れた時みたいにわたしが唐突に放り出されるから泣きたくなるっていうかちょっと泣く。泣きながら飯を喰らう。私だってーって言いながら呼吸する。一切は暴力的なまでに身勝手だ。

気づいてしまったらもう戻れなくなることってたくさんある。日常のあれこれに埋もれて普段はよく見えていないことほど気づきの存在は大きくて、ちょっと今のなしねって黒板に書いた落書きみたいに消せないから困る。半紙に垂らした墨汁よろしく私の中にじんわりと影を落とすのでもう動かないことにしました。色んなことが音を立てて動いていくのだけど、動けないのは私のどうしようもない部分だけなんだろうなと少し冷えた頭で思う。真っ白かったあの頃から色んなことが変わってしまった。

 週末は難波のイタリアンバーでビールを飲んできました。開店して2週間だというそのお店で働く人たちはやっぱり2週間しか働いていない人たちで、あっちこっちで戸惑っていて何か微笑ましかった。唯一店長っぽい口ひげを蓄えたイケメンおじさんだけが落ち着いていた。「あの人何歳だと思いますか?」と隣の席のお姉さんに言われて「35くらいですかね…」と答えたら28とのこと。笑ってしまった。

 日曜日は公園でまたまたビールを飲みながらシャボン玉を飛ばした。日差しも強くてもうすっかり初夏という感じの気候の下、シャボン玉用のフープを持って走ったり一心不乱にストローを吹いたりした。小さい子や散歩に連れられていた犬なんかがキラキラするシャボンを見て不思議そうにしていた。サッカーの練習をする親子や水風船で遊ぶ小学生、ドッヂボールをする女の子達、日曜日の公園にはみんなの楽しみを詰め込んだような穏やかな時間が流れていた。彼氏はフープをステッキのように持って「魔法少女!そーれ!」とぴょんぴょん飛び跳ねながら飛ばそうとしていた。公衆の面前で髭面の男性が魔法少女になれるのだからアルコールは怖い。

 素敵な週末からの月曜日はひたすらに眠気との格闘だった。箱庭療法の分析発表、担当しているクライエントのスーパーバイズ、その後は精神分析の研究会に行った。帰宅したのは23時半くらいで結構ハードだった。本分本分、と思う。

 それはそうと、そろそろちゃんとしたバーにも行きたいと思った。お酒の種類や数を気にすることなくアレ!と頼みたい。