memo:

 
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド村上春樹
村上節、とでも言うのかな。ゆるい感じの文体にだいぶ慣れてきた。この本は風景の描写がすごくきれいだったなぁ。黄金色と言うか、夕焼けの色、というか。やみくろに主人公が出会う場面がすごくよかった。重さや恐怖を、つばを飲む音まで聞こえてきそうなくらいリアルに感じた。「僕は泣けなかった。泣くには歳をとりすぎていた。」って感じの一節が印象的。ノルウェイの森をもう1回読み直したくなった。今は彼の短編集を読んでいるところ。


「鼻・羅生門芥川龍之介
ところどころ文語体で読むのに時間がかかったし、なんとなく合わなかったかも。でもこの中に入ってた「袈裟と遠盛」って話は好きで、お互いの思惑が交錯する感じは読んでいてわくわくした。恋慕・夜・殺め。激情(殺す・殺されたいってきっと苦しいまでのパワーのはず)に満ちた二人の胸中が静かに書かれているのが心地いい。他にもコンプレックスやどうしようもない思いの行く先を鋭く描いていて、昔の人のほうが感情に敏感だったのかもしれないと思った。


「斜陽」太宰治
久しぶりに残りのページが少なくなるのが惜しい本だった。すごく読みやすかったし。弟の、姉宛の手紙や日記の内容がすごく好き。刺さる。久しぶりに本読んでて「あー……。」ってしみじみとなりました。ひらがなってすてきだなぁ、と思ったのも久しぶり。「くやしい。かなしい」。違う作品も早く読みたい!