ある真夜中の会話(ガチ)

「へぇ募金」ってのがあるんだ。そう、あの押したら「へぇ」って言う、某番組のやつ。あれをね、コンビニのレジ横に置いとくのね。1回2円支払うと、ボタンを1回押せるの。それがへぇ募金。


で、小さな子とか冗談半分の若者とかが、2円ならっつって押していくんよ。まぁ軽く笑って終わりなんだけど。日に4人位が押してくから、1日にだいたい8円くらい集まる。少ないと思うかもしれないけど、これが全国で行われてるから、結構な額集まるわけ。


そのお金は全部「へぇボタン」を作るのに使われる。相当な額を投資するから、まぁそれは相当な数のへぇボタンができる訳だ。でもね、問題なことに、そこの社長は在庫処理が下手なんよ。営業が下手って言うか。だからみるみるうちに、へぇボタンが増えていく。山のようなへぇボタン。


仕方ないから港の倉庫街の倉庫を1棟借りるのね。そこにとりあえずは運び込むことにしたの。でも港だからケンカしてるヤンチャくれとかドンパチやってる「その道の方」とかも居るのよ。その間を縫うようにして社員が運ぶ。ごめんなさいねーっつって。通りますよ-っつって。殺気立ってる連中は当然怒るよね。胸ぐら掴んであ゛ぁン!?お前死にてぇのか!って。


運び手がバランス崩すもんだからころがるへぇボタン。


社「いやうちの倉庫がそこにあるだけd『へぇ〜』」

兄「!?…………。」
社「…………。」
兄「これ……お前んとこが作ってんのか……?」
社「…………はい……」
兄「なんつか……正直、悪かった……頑張れよ」


その間抜けな音と量の多さと社員の絶望顔に戦意喪失。ドンパチもなんだか萎えちゃっておじゃん。そうしてケンカやなんかの犠牲者が減ることで、進む人口爆発。ドンパチが消えちゃうんだからね。えらいことだよ。人口が増えるからますます「へぇ募金」は増えて、へぇボタンは量産される。そしたらまたボタンは倉庫へ。無限ルーティンよ。


倉庫の中の一番上に保管されてるへぇボタンが何かの拍子にころがり落ちたら、他のボタンに当たってなし崩し的にボタンが鳴り出す。へぇの大合唱。


地震なんかが来たら大変だよね。もううるさいなんてもんじゃない。「海の神の怒りの声だ」なんつって噂されるほどだよ。倉庫内で反響して、もはやべぇべぇ聞こえる。べぇボタン。


社長はとうとう生産を中止した。へぇ募金も廃止。だって倉庫付近の住民運動が盛んになっちゃったんだもん。うるせぇっつって。べぇべぇべぇべぇ牛いなしてんのかって。やめろっつって。後は会社自体が抱えた大量の在庫と資金投入によって無限に増え続ける生産物に白旗振ったんだ。「いや普通に考えて他のことしようぜ」。


こんな訳で第一次へぇボタン問題は収束した。大量の在庫は幼稚園や保育所、その他各施設に寄付されたし、街角で無料配布したりもした。


社長が後日言ってたよ。「俺、この問題が全部解決したら、深イイのレバー作りを請け負うんだ。」ってなんじゃこりゃ。