crescent

「寒いね」っていいながら歩いた道は
いつの間にか遠くなって
月が高く昇る頃
気がついたら
道に延びる影は一つだった


ぽかんと空いた穴に
夜の冷えた風がよぎって
思わず身震いする僕は
左手がさみしいと、ふと思う


高い空も 鳴る道も
全部ここにあるのに
見える世界が広すぎて
僕は泣いた