「ほら」

時間の砂が こぼれ始めた
あたしはそれを止める術も
逆らう術も しらない

目の前にチラつくのは
君との何気ない日常と
笑顔と 涙と
横でかすかに聞こえていた 寝息

君の唇が動くことが怖くて
ただ君とつながっていたくて
でも もう 戻れないことも分かっていて

だから言ったありがとう、は
綺麗事でも 本音でもなくて
ただ傷つきたくないが故だったりして

もうこの部屋に来ることも
鍵をあけることも ないんだろう
きみの寝癖を直すことも
首筋を甘く 噛むことも
「また、明日」っていうことも